木造トラスの設計

トラス構造とは三角形を組み合わせた造りのことで、身近なものでは橋梁やテントで利用されています。
写真は、一番最初に意匠を考える際に作成した構造模型となります。
一般的に新築工事の場合、プレカットと呼ばれる工場加工済の木材を使用します。
プレカットの場合、現場では組立作業のみを行うため、工期の短縮・施工者の技量に依存しないというメリットがあります。
ところが、リノベーションや増築では現場加工が必須となるため、プレカットは使用できません。
今回は新築ですが、木造トラスと呼ばれる特殊加工が必要な建物でした。
新築でありながら、プレカット対応ができなかったため、リノベーションと同じく大工が手で加工しています。

意匠が決まったら、法規の検討と構造計算を行い、確認申請が通ったら着工となります。
木造新築には、壁量計算と構造計算(許容応力度計算)の二種類のルートがあります。
今回使用した構造計算は、様々な条件下で各部材にどのような応力が発生するか、構造専門の建築士が分析するため、正確な構造データが得られます。
壁量計算はもう少し簡単な方法となりますが、その分費用は安価になります。

木造で無柱大空間を作ろうとしたとき、大断面集成材とトラスの二種類の方法があります。
比較すると、前者の方が一般的ですが、コストは高くなり、木造としてのメリットは薄くなります。
今回は後者のトラスを採用しましたが、すべて住宅用として一般に流通している小口径無垢材なので費用も抑えられています。
今回使用した材木は、全て強度と乾燥率を指定した、浜松市天竜産のFSC材木のみを使用しています。
完成




木造トラスの施工









