2022.04.01
建築会社のDX
今回も、少し建築そのものとは関係ないお話です。
当社の場合、組織の合理化を進めている中で、特に有効なのがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。
ほとんどのデータをデジタルに置き換えたり、やり取りをデジタル化することで、明らかに業務が確実化・簡略化しました。
今回は、同じような中小規模の建築会社・工務店向けに、DXのやり方についてご紹介したいと思います。
建築会社のDXの目的
DXの目的は様々ですが、一番は合理的な情報管理を行うことだと思います。
過去の施工資料・図面であったり、顧客情報を一元電子管理することで、探す手間が無くなります。
見積書を積算する際に、前回までの原価を確認する際も便利です。
他にもOBのお客様から問い合わせがあった際に、スムーズに相談に乗ることができます。
具体的に言うと、食洗器の不具合があった際、電話しながらでも過去の施工履歴を検索し、品番から保証履歴を回答することが可能です。
当社の場合は、広告宣伝費が基本的に設けていない(チラシやweb広告を行わない)という事情もあり、
既存の顧客情報や施工データをきちんと管理することを最重要視しています。
他にも、副次的な作用として、書類を格納しておくスペースが減ったのも利点です。
さらに、顧客情報保護の観点から書類は裁断・溶解処理をしていましたが、その費用も減りました。
DXの具体的な進め方
まずは、紙データの電子化を進めるのが良いと思います。
今まで紙で保存していた請求書や見積書を電子化するだけで、簡単に検索できるようになります。
併せて行うべきなのは、共有フォルダの構築です。
特定のローカルデバイスに保存するのではなく、セキュリティの確保されたクラウドに保存します。
誰でも必要なデータにアクセスできるのはもちろん、場所に左右されずにデータにアクセスできるようになります。
PCが故障した際や、買い替え時にストレージの移設が不要になるので、負担が減るのもメリットです。
AI(OCR)を活用
最近発展著しいAIですが、自社には関係ないことと思いがちです。
ところが、中には大変有効で敷居の低いものもあります。
たとえば、OCRと呼ばれる画像から文字を抽出するAIは、読取位置や項目を自動で設定することができます。
細かい操作不要で、紙資料をスキャンするだけで文字を認識してワードやエクセルといったデータに変換が可能です。
前述した紙データの電子化の際に、強い味方となります。
現場と事務所の連携
職人と現場監督のやり取りは、従来はFAX(メール)と電話が主流でした。
職人は現場仕事がメインなので、書類を確認する手間はなるべく軽くしたいものです。
そんなときはチャットツールが便利です。
工程表や施工図などをデータで送付し、それに対してコメントを送ることで、随時更新が可能です。
排水位置に併せて、シンクの左右勝手をその場で変更して、給水位置の施工図を取り寄せるといったこともできます。
さらに、大量の写真であっても、ファイル転送サービスを利用すれば、現地調査前に送付しておくことが可能です。
通常メールであれば、10MB程度が添付ファイルの上限です。
ところが、専用のファイル転送サービスであれば、100GB~といった大容量のファイルを即時送付できます。
写真を送っておけば、現地調査前に見るべきポイントや工法の目途を立てておくといった事前準備ができます。
それにより、スムーズな調査が可能であったり、小工事であれば概算費用の目途が立ちます。
できることから一つずつ
今回ご紹介した内容は、どのような企業であっても即座に実行可能な例です。
最初に管理者が仕組みの理解することが必須となりますが、それでもやる価値がある手法です。
費用がかからない、もしくは少額であることも導入のメリットです。
DXをすすめることで、効果は掛け算式に上がっていきますが、まずはできるところから始めていくのが良いでしょう。